「食べられるコンクリート」と聞いて、どんなものを想像されますか? お菓子の家的なものなのか、空腹に困ったら地面を食べるようなものか、ものすごく環境に良くて耐久性のあるスグレモノか。いずれにしても気になるこの表現、どんなものなのかご紹介していきますね。
東京大学発のベンチャー企業が発表したもの
「ゴミから感動をつくる」をステートメントに掲げる、東京大学発のベンチャー企業である「fabula(ファーブラ)」が生み出したものが、食べられるコンクリート。「物語」という意味のラテン語に由来した社名fabula(ファーブラ)には、「要らないものとして処理されるゴミを生まれ変わらせることで、ストーリーの続きを紡ぎたい」という想いが込められているようです。同社は規格外の野菜や加工時に出る端材などの食品廃棄物から新素材を作る特許技術を保有しており、食品ロスや環境負荷軽減など、社会課題解決の一翼を担う存在として期待されています。どうやら、お菓子の家のようなものではなさそうですね。ゴミを出さずに再利用・身近なもので新素材を生み出す、ということにフォーカスされているようです。
食品ロス問題にも一役を買う
食べられるコンクリートはいかにして生まれるのか、そのあたりも知りたいですよね。まずは、原材料となる食品廃棄物を集めることからスタート。収集後、乾燥させて粉末状に。熱圧縮して成形するというのが、大まかな流れになります。素材の乾燥方法や粉末の粒度、加える熱の温度などの製造条件を調整することで、ほとんどの食材を成形することができるそうです。例えば、みかんの皮やコーヒーかす、ニンジン・トマト・白菜でも可能。どうやら、白菜でつくった素材はコンクリートの約4倍の曲げ強度を誇り、厚さ5mmで30kgの荷重にも耐えられるとか。また、複数の材料を混ぜ合わせることも可能なようで、食材によって強度が異なるところも発見があって探究心をくすぐられる。大量に廃棄されるしかない食材の“新しい活躍の場”として活用されるかもしれません。
さらには食糧危機にもつながる可能性あり
食べられるコンクリートは、100%天然素材のために同じものはひとつとしてありません。異なる風合いを楽しめたり、原材料に柑橘やハーブなどを使うことで材料由来の色や香りを楽しめたり。また、将来的には食べることを視野に入れた研究を進めているので、味も楽しめるようになるかもしれないとこと。食品ロス問題だけでなく、食糧危機の解決にもつながるのは期待したいところです。すでにコースター・お椀・タイルなどの雑貨類は実用化されています。また、株式会社明治とは、チョコレートの製造途中で取り除かれるカカオ豆の種皮カカオハスクを活用したコースターやお椀などの製品も。将来的には建材を目指しているとのことですが、素材ならではの香りや色をうまく引き出したプロダクト開発も取り組んでいるため、そちらの方が私たちユーザーサイドは手に取る機会がありそうですね。