世界のゴミシリーズ・シンガポールが世界一ゴミの少ない国と言われる理由
ゴミ問題。昨今、エコやサステナブル、SDGsなどによって私たちの生活に切っても切り離せない課題となっています。ただ、ゴミ問題は経済発展の度合や処分場に適した土地の確保、または振り分けられる予算などなど、一筋縄ではいかない事情が複雑に絡んでいるのも事実です。それに地域や国によってさらに事情が異なってきます。日本のみならず、世界のゴミ問題を知り、興味関心または課題解決のキッカケとなれば、素敵ではないでしょうか。
世界で最も清潔で安全な都市、シンガポール
今回は世界一ゴミが少ない国と言われるシンガポールにフォーカスしていきます。「世界で一番清潔またはキレイを徹底している国は? 」という問いに対して多くの方が「シンガポール」と答えるでしょう。それだけシンガポールはキレイというイメージが定着しています。それは、経済的な発展を成していることが大きいですし、環境保護に注力している国でもあるからです。また、ゴミに対する法律も厳しく、ポイ捨てなどの行為は罰金対象(事によっては禁錮も設けられている)。厳しい取り決めがあるため、シンガポールの人々は環境や清潔を守る意識が高くなっています。ただ、東京23区ほどの広さのシンガポール、人口密度が高く国土が狭いことは、ゴミ問題にとっては最大のネックであることに変わりはありません。
シンガポールの現在のゴミ処理事情
シンガポールの公共住宅(HDB)は、ゴミ処理費用として各家庭月額8.25ドル。この決まりを「捨てた分だけ支払う」重量課金制に変更することで、量によっては支払い額が少なくなるため、ゴミ削減につながるのでは? という狙いがあるようです。シンガポールではゴミの分別は義務付けられていないため、まとめて自宅に備え付けられているゴミ箱に捨てればOK。ゴミの量を家庭毎に測ることも難しいことではなさそうだと考え、シンガポールの国家環境庁は、世帯ごとのゴミの量に応じて課金するシステムを将来的に導入する可能性を示唆したようです。ゴミのない(目立たたない)清潔さを保てているのは、焼却炉の性能の高さも関係しているようです。国内には国営・民間合わせて4つのゴミ処理プラントがあり、高い処理力を誇っています。高性能・高稼働の焼却炉処理により、ゴミの体積を1/10に減らしているとのこと。
「これでオールOK! 」…そんな簡単ではないのがゴミ問題
灰や焼却できない廃棄物はセマカウ埋立地に運ばれるのだが、問題がないわけではないようです。世界初の人造オフショア埋立地として1999年に造られ、面積約3.5平方kmの人工島が国内唯一のゴミ埋立地。このペースであれば、2035年には許容量を超える予測。そのため2030年までに埋め立て地に送るごみを1日1人当たり30%削減、シンガポール国内全体のリサイクル率を70%に引き上げる目標を掲げています。キレイな国シンガポールもゴミ問題には当然、課題を残しています。このように世界中の国々が頭を悩ませているゴミ問題。シンガポールは、高い技術力、政府の強いガバナンスにより独自の解決法を模索しています。