知っていましたか? 生の梅は毒って…

2025.10.17

食の発見シリーズに近いですが、馴染み深い植物や動物、街でも気軽に見かけることができるものでも、案外知らないことってありますよね。そんな類いのものをここでは紹介していきます。今回は、「梅」。梅干しや梅酒、梅ゼリーなど身の回りに溢れているものですが、生は毒って知っていましたか?

完熟は◎ 未熟はNG そんな梅です

果物を味わう際の醍醐味と言えば、丸かじり。りんご然り、ぶどう然り、桃然り。それなら梅もいいよね? と思ってしまいますが、ちょっと違います。梅は「完熟」して黄色い状態は生で食べられますが、未熟な「青梅」はシアン化合物(アミグダリン)を含むため、そのまま食べるのは危険とのことです。もちろん、梅干しや梅酒などへ加工・熟成により、アミグダリンを分解させてからは、美味しく食べられます。このアミグダリンは有毒成分であり、体内で分解されてシアン化水素(青酸)を生成するため、大量に摂取すると中毒を引き起こす危険性が! 主な症状は頭痛、めまい、吐き気、呼吸困難など。とは言え、成人で約300個、子どもで約100個が致死量と言われているので、よほどのことがなければ大丈夫かと思います。

特に種の周りにはアミグダリンが多く含まれているそうなので要注意!

未熟こそ、要注意!

先に述べたように、中毒が起こるにはかなりの量の生梅を食べる必要がありますが(成人で約300個、子どもで約100個)、安全のためにも生食は避けるべき。「そんなに食べることも、そんなに食べる人もいないでしょう」と感じてしまいますが、希少な例では梅のサプリメントを多量に摂取して中毒が起こったという話もあります。そういうこともあるのだと知識を入れておくことが大切だと思います。また、幼い青梅には特に注意が必要。種には果肉よりも1020倍の有毒成分が含まれているそうです。そのため、木になったばかりの柔らかい青梅を種ごと食べるのはNG行為。これも植物が種を守るためなのでしょうね。梅の実が大きくなり種が堅くなるにつれ、種を守らなくてもよくなるので、青酸配糖体が分解されるという流れ。つまり、食べやすくなるということ。

そうは言っても、梅はすばらしきもの!

何度でも言いますが、梅干しや梅酒などの加工品は、塩や砂糖、アルコールなどによってアミグダリンが分解され無毒化されているため、安心して食べられます。誤解なきようにしていただきたいです。「生の青梅は危険性がある」ということなので、改めて梅の美味しいいただき方を紹介しておきます。

〈加工品は無毒化されています!〉

梅干しや梅酒、梅の砂糖漬けなどは、塩、砂糖、アルコールなどによってアミグダリンが分解され、無毒化されているため安全です。お子さんがいる家庭では、生の青梅を誤って口にしてしまう可能性も考えられるため、手の届かない場所に保管するなど注意が必要です。完熟して全体が黄色くなっている梅は毒素が分解されているため、そのまま生で食べることができます。フルーティーで甘い味わいはとても美味です。