コーヒー好きの間ではすでに周知の事実で、嗜みのひとつかもしれませんが、動物の糞が関わるコーヒー豆というものが世界にはいくつか存在し、しかも高級品・希少品として注目されているんです。人によってはどんな高級豆よりも美味しいという方もいるので、興味深い記事ネタとして今回ご紹介していきます。
甘い香りが特徴的な「コピ・ルアク」
インドネシア産で有名なコピ・ルアクは、ジャコウネコの糞から採取される希少なコーヒー豆のことで、インドネシア語で「コピ」はコーヒー、「ルアク」はジャコウネコを意味します。なぜ、わざわざ糞から採取するのかと言うと、ジャコウネコがコーヒーチェリーを食べ、その糞の中から未消化のコーヒー豆を取り出して精製。この過程で、ジャコウネコの消化酵素が豆に影響を与え、独特の風味を生み出すと考えられています。特徴としては、その希少性が挙げられます。ジャコウネコ1匹から1日に少量しか採取できないため、非常に高価で希少なコーヒーとなります。そのため、一般的なコーヒーよりも高価で、一杯数千円から数万円で販売されることも。また、チョコレートのような甘い香りやバニラのような香りがすると言われます。
ゾウが熟成・発酵した「ブラック・アイボリー」
タイのアジアゾウが生み出すコーヒーの名前が、「ブラック・アイボリー」。世界で最も高価なコーヒー豆のひとつに数えられ、高級ホテルで提供されるほど。ブラック・アイボリーのアジアゾウは、餌としてコーヒーの実や果物を食べています。その際に胃の中で発酵して果肉が分解され、その影響で豆の苦みが取り除かれるそうです。30kgを超える餌を食すゾウですが、コーヒー豆として生産できるのは1kgほど。それだけに希少性は高くなってしまいます。しかし、それだけの価値はあると思える香りが特徴的です。チョコレート、カカオニブ、桃、タマリンド、紅茶のほのかな香りがし、コーヒー好きを唸らせています。2023年の生産量はわずか250kgと、世界で最も希少なコーヒーになっているそうです。コーヒー好きを自称するなら、一度は挑戦してみたいですね。
まだまだ存在する“動物コーヒー豆メーカー”
ジャコウネコやゾウ以外にもコーヒー豆を生産する動物はいるようです。アフリカにはサルの糞から採取される「モンキーコーヒー」があり(ネーミングがそのままですが)、また、糞ではありませんが、台湾にはサルが実を食べた後に吐き出した種子を集めて焙煎したものもあります。ブラジルには南米原産のカオグロナキシャクケイと呼ばれる絶滅危惧種の鳥の糞から取り出し、洗浄・焙煎したコーヒー豆も。その他、ベトナムにはタヌキのコーヒーもあるようです。コーヒー豆の栽培が盛んなベトナムでたぬきコーヒーが生まれたのは意外な理由が関係していました。とある農家に現われたタヌキが、出荷前の完熟豆を完食…肩を落とした農夫でしたが、タヌキのフンの中から見つけた豆を洗ってコーヒーを淹れてみたところ、今までに味わったことのない美味しさだったそうです。災い転じて福となすを地で行くベトナム農夫に乾杯したいですね! いずれかのコーヒー豆を機会があれば、挑戦してみてください。
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