西尾の抹茶はリサイクルでも、彩られる

2025.07.15

日本有数の抹茶どころである西尾市。全国生産量の約20%を占め、その歴史は700年超と言われています。もともとはお茶の栽培からはじまり、抹茶の生産は明治となってから。抹茶に特化した西尾ならではのリサイクル・アップサイクルにも注目が集まっています。

「西尾の抹茶」は特許庁の地域ブランドに認定

西尾市とその周辺地域の特産である「西尾の抹茶」は、特許庁の地域ブランド(※1)に認定され、指定商品は愛知県西尾市・安城市で生産された茶葉をてん茶加工・仕上げ精製し、茶臼挽きした抹茶のことを指します。抹茶に限定した地域ブランドとしては全国で初めてのようです。その背景には、豊かな土壌や矢作川がもたらす恵まれた気候が好影響をもたらしています。産地として有名なだけではなく、茶室やカフェも点在しているため、周辺地域へ観光やカフェ巡りに訪れる方も多くいらっしゃいます。単に抹茶をいただくのも良し、抹茶を活用したスイーツに舌鼓を打つのも良し、散策がてらに抹茶三昧を楽しむのもおすすめします。お茶・抹茶としてだけではなく、食品加工原料としても全国トップクラスを誇るのが西尾の抹茶です。

※1)地域ブランドとは、特許庁より認定された商標で地域活性化に役立てようという新しい制度

規格外品を活用した製品を開発

安城市にある「南山園」が生み出したのが、抹茶を含んだタンブラー。樹脂製のタンブラーからほのかに抹茶の良い香りが漂う。もとより製造工程において生じる規格外品や食品残渣は、自社農園に有機肥料として再利用していたそうですが、植物原料を取り入れた樹脂製タンブラーを開発する企業から声を掛けられたことで、抹茶入りのタンブラーを生み出すことになったようです。抹茶の用途が広がるのは面白いと前のめりで共同開発。タンブラー以外にはこれまでも繊維製品用の染料としての活用を行うなど、SDGsへの取り組みを継続に行っている。世界的に抹茶人気が高まっている状況において、南山園の環境問題に関する取り組みやエシカルな活動は、さらなる追い風となっているようです。

他にもあるある、抹茶の再利用

抹茶の製造や加工工程においては、どうしても規格外品・食品残渣・舞い散った粉末などが生じてしまいます。これまで処分するしか道のなかったこれらをいかにして活用していくかは各企業、頭を悩ませています。そんななか、ひとつの事例として「おやさいクレヨン」の抹茶ver.として活用されているケースを知りました。おやさいクレヨンとは、捨ててしまうような野菜の皮や外葉などを一度パウダーにし、クレヨンの原料である米油と混ぜて製造しているもの。西尾産の抹茶パウダーは、とても粒度が細かく色鮮やかな抹茶色のため、抹茶クレヨンも好評のようです。その他、規格外の抹茶を活用し、クラフトビールなどを販売するプロジェクト「まっちゃれんじ」なるものも。こちらも規格外品をうまく活用した代物。エコやリサイクルを通して抹茶の魅力がさらに広まると良い連鎖が生まれそうですよね。