前回、“冬のあったかアイテムの代表と言える「使い捨てカイロ」、使用済みはどうしていますか? ”という記事を公開しましたが、その続編をお届けします。なかでも続編では「土壌改良剤」に着目してみました。「使い捨てカイロが育成促進になる!? 」に迫ります!
使用済み使い捨てカイロが食料不足を解決!?
使い捨てカイロの中身をいま一度おさらいすると、パッケージに密封された粉末状の鉄、塩、活性炭などの混合物から構成されています。
袋を開けると、これらの成分が酸素と反応して酸化反応を起こして発熱する化学反応により、外気温に応じて温かさを提供してくれています。一般社団法人ゴーグリーンジャパンでは、「植物の育成に欠かせない鉄と多孔質で土の有用微生物のすみかとなる炭の結合作用」を活用して、土壌改良剤の製造を行い、不良土壌を改善して食料不足問題に挑戦しているということです。
具体的な効果としては、
・土壌改良材の影響で作物の発色が良くなり、収穫量を増やすことができる
・葉緑素を増加させ有機酸が多く生成され植物が元気に育つ
・作物自体が土壌から鉄分を吸収するので、鉄含有量の多い穀物、野菜ができる
こういったフローにより、「使用済み使い捨てカイロが食料不足を解決」という図式が成り立つようになっていきます。
使い捨てカイロの中身をそのまま…ではなく
一般社団法人ゴーグリーンジャパンが携わった研究(東京海洋大学の佐々木剛教授)の結果(※)、鉄粉に特殊な加工を施すことでヘドロを分解したり、農薬などで汚れた水をキレイにしたりすることが可能になるようです。また、土の中でも効果があり、土の中の微生物を活性化させたり、作物の収穫量を増加させたり、土壌の酸化防止も可能になります。実証実験の一部では、大阪・峯ケ塚古墳や長野県・松本城の外堀に撒いた際、堆積物が大幅に減少し、水質を改善。さらに土壌改良剤としても作物の根張りがよくなったり、花の付きが多くなったりなど、多くの実績を得ているとのことです。独自開発をしている「Go Green Cube」は、使い捨てカイロの中身を再利用した水質浄化剤であり、土壌改良材でもあるということ。
※鉄イオン溶出体の粉と炭の粉を固形状にし、水に入れておくと二価鉄イオンという鉄イオンが発生します。この二価鉄イオンの働きで、ヘドロを分解したり、悪臭を除去したり、光合成が活性化されたり、赤潮の発生を防ぐことができる。
「もったいない」と感じた方は少なくないはず
内包されている各素材の化学反応により発熱している使い捨てカイロですが、温かみがなくなったからといって、中身の効果効能がなくなったわけではないので、そこをもったいないと感じる方もいらっしゃるでしょう。自宅の園芸や栽培用の土壌改良材や肥料としてなら使えるかもしれません。実は、使い捨てカイロには“バーミキュライト”という土壌を改良する作用がある成分も含まれているからです。「それならそのまま土に入れてしまえば良いのね」とダイレクト注入はストップです! 注意してほしいのは塩化ナトリウムも含まれている点。植物に悪影響を与えてしまうものなので、取り除く工程が必須です。コーヒードリッパーにコーヒーフィルターを2~3枚重ねてセットし、カイロの中身を入れ、150~200ccの水を全体に行き渡るようにゆっくりと注いでろ過させればOKです。
朗報も加えておきます!
カイロの種類によっては、塩化ナトリウムの代わりに肥料としても使われている塩化カリウムを配合しているものもあるようなので、土壌改良に使いたい人はそちらを選ぶと良いですよ♪