シリーズでお届けしている世界のゴミシリーズ、今回はカンボジア。近年、東南アジアの中でも成長を遂げている一方、廃棄物の排出量増加に対応できていないという課題に直面している国でもあります。現地紙のクメールタイムズが報じたところによると、1年に400万t以上のゴミが排出されているが、ゴミ処理場で処分されるのはその半分に過ぎないそうです。このことからもまだまだ課題が山積みのカンボジアに今回は迫ります。
急成長の裏にはインフラが未発達の現実
成長が著しくなってきた2004年から2017年の間にゴミの排出量は5倍以上、そして1年間で数百万tのゴミが発生しているカンボジア。首都・プノンペンでは、社会問題となっているプラスチックビニール袋を毎日1,000万枚ほど消費しているそうです。それでいながら、ゴミ処理場やリサイクル施設の整備が整っていないため、毎日2500tのゴミの8割が処理されずに埋め立て地行きとなり、文字通り山積みになっています。ただの埋め立てというわけではなく、山積みされたゴミの7割以上が再利用できる可能性があるのが、なんとももどかしいところです。カンボジア全土には200ヶ所以上のゴミ処理場があるそうですが、そこに持ち込まれるごみは半分に過ぎず、残りは河川などへの垂れ流しか、燃やす処理。経済成長に伴う急速な都市化で、首都・プノンペンだけでなく、地方都市でも社会課題になっています。
ビジネスの街が発展する一方でゴミ山で暮らす人もいる
首都・プノンペンはビジネスの街として、カンボジア発展の大きな柱を築いています。それと比例して、ゴミ問題は深刻化し、ゴミが溢れてしまっているカンボジア。フィリピン同様、カンボジアでもゴミ山の問題があります。スラム化し、そこで暮らす貧困層の子どもたちがゴミを拾い、生活用品として使用したり、売って小銭を稼いだりをして生活しています。さまざまな問題がありますが、まずは分別の概念が根付いていない点が大きいでしょう。例えば日本なら、燃えるゴミ・燃えないゴミ・プラスチック・ペットボトルなど細かい分別がありますが、カンボジアにはありません。商業施設などは分別されているゴミ箱が設置されていますが、ユーザー側に根付いていないため、分別の意味やメリットを知らない人ばかりなのです。国をあげて取り組んでいる最中なので、この先のカンボジアに期待したいですね。
日本とも友好関係を築いているカンボジアに期待
外交関係が樹立されて70年以上が経過している日本とカンボジア。経済協力や文化交流が盛んに行われており、国同士の公式な取り組みや民間企業、個人レベルでもあらゆるサポートが行われている両国。経済サポート以外にも医師の派遣、教育サポート、歯科医の虫歯検診、水質改善プロジェクト、ゴミ処理問題改善、リサイクル処理技術のサポートなど多岐にわたります。観光地として日本でも人気のアンコールワットがあったり、親日家が多かったりと個人レベルでも馴染み深いカンボジア。日系企業の拠点としても現地の経済発展の一翼となっています。「日本は整備されているから問題ない」ではなく、変遷を辿ってきた結果として今があり、さらなる改善のためにも成長途中のカンボジアから学ぶべきことは多いと感じています。実際、カンボジアの課題をざっと挙げると下記のように。
・首都・プノンペンでも全域(特に最貧困層が定住しているエリアなど)でゴミ回収が行われていない
・そして、その収集時間が決まっていない
・さらに、収集が不定期で来るのでゴミが溜まってしまう
・住民の廃棄物に関する知識不足が深刻
・ゴミに関する法律が不十分
・プラスチックゴミの焼却による大気汚染で健康被害が増加
など
日本でのゴミ問題、リサイクル課題にも活かせる課題抽出になるはずです。