世界からも注目を集める小さな町の大きな挑戦

2025.05.23

「ゴミをなくすには、ゴミを出さないようにすれば良い」という究極の答えは、誰もが願ったことがあると思います。ですが、人の生活においてゴミは切っても切り離せない存在であると同時に思い知るわけですよね。そんな壮大な願いに挑戦している町が日本にあるのはご存知でしょうか? 小さな町の大きな挑戦、ぜひ興味関心を持っていただきたいです。

ゼロ・ウェイスト=無駄・ゴミ・浪費をなくす

世界から注目を集めるのは日本のどこにある町かと言うと、徳島県の山あいにある上勝町(かみかつちょう)のこと。“未来のコミュニティ”としてある種、理想形と評価を獲得しています。どの部分が世界的な評価を得ているかと言うと、町全体でゼロ・ウェイストを目指している点。ゼロ・ウェイスト=ゴミをゼロにする、ということです。ゼロ・ウェイストとは、無駄・ゴミ・浪費 をなくすという意味で、「日々の行いを徹底的に見直し、ゴミを無くすために行った取り組みが、町の人々の意識を変え、モノの使い方を変え、暮らしの価値観を変えていった…という経緯を辿っています。現在、上勝町の町民が全員で行っているゴミ処理方法の一つひとつは単純なものばかりです。けれども、毎日続けることが大切で、毎日丁寧にゴミと向き合うことにより、生活や意識も無駄をなくすための工夫へと向かい、ゼロ・ウェイストの精神につながっているのだと思います。

上勝町の丁寧なゴミの分別

上勝町の町民は、ゼロ・ウェイストセンター(町内にある分別所)で自ら分別をしています。現在のゴミ分別は、13種類45 分別。かなり細かく、丁寧な分別と言えます。これは、細かく分別することで焼却・埋め立てから資源を救い、処理費用も大幅に抑えることを実現しています。上勝町は、「こんな面倒なことをしなくても、資源が有効に再利用される社会になることが理想です。今できることを、町民自ら取り組んでいる。 それが上勝町の誇りです」と発している通り、現状の制度や状況に照らし合わせるとこのような細かい分別になっているだけで、本来はそうしないようにすることが理想ですよね。毎日の積み重ねを継続することでリサイクル率 80%以上を達成しています。上勝町にゴミ収集車はなく、町民は町内唯一のゴミステーションまで持ち込まないといけないようです。手間はかかるが、年末年始以外いつでも捨てられるため、どんなごみも自分の都合の良い時に出せるというメリットもあります。

思い描く未来の姿のために

1996 年オーストラリアの首都キャンベラが世界に先駆けて「ゼロ・ウェイスト宣言」をして以来、世界中でゼロ・ウェイスト宣言が採択されています。他にはアメリカのニューヨーク市やカリフォルニア州などの大都市もゼロ・ウェイストに取り組んでおり、日本では自治体としてゼロ・ウェイストを宣言しているのは、5自治体あります(2021年1月時点)。当然ながら、はじめからこのようなスタイルなのではなく、上勝町も1997年までは野焼きを行っており、その後焼却炉を導入するも効率の悪さによって2001年には焼却炉を閉鎖。そこから「できるだけゴミを減らしてリサイクルを行う」ために35分別をスタート。その頃には、ゴミを処理するのではなく、“そもそも出さないこと”へシフトチェンジし、2003年に日本初のゼロ・ウェイスト宣言へとつながっています。日本初の上勝町では、「未来のこどもたちの暮らす環境を自分の事として考え、行動できる人づくり」を2030年までの重点目標に掲げ、再びゼロ・ウェイストを宣言しました。
「ゴミになるものがほとんどなく、快適でストレスなく暮らしていける。資源は循環して、また誰かの暮らしを豊かにし、美しい地球がいつまでも続いていく」そんなゼロ・ウェイストな社会を後世へ残すために…。

上勝町ゼロ・ウェイスト
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