世界のゴミシリーズ・「アメリカ」

2025.05.02

シリーズでお届けしている世界のゴミシリーズ、今回は超大国・アメリカ! 国土の大きさ、人口の多さからゴミ問題を抱えていそうなイメージを感じさせますが、実際のところはどうなのか!? 他者から学び、取り入れられるものは取り入れ、活かしていきたいものですね。やはり、ここでも大切なことは、「知る」こと。

超大国アメリカのゴミ問題を、知る。

国単位では世界で最もゴミを排出しているアメリカ。1人あたりのゴミ排出量も世界平均の約3倍となっています。誤解を恐れずに感想を述べると、「やはり…」と思ってしまいます。パブリックイメージからするに、アメリカの大雑把なところと切り替えの早さから必要なものから不要なものへチェンジするスピードが速いのかな、と感じてしまいます。数字やデータによると、(10年前のものですが)2014年の家庭廃棄物の量は2億6000万tで、日本の4600万tの5倍以上となっています。そして、2020年の世界の都市廃棄物排出量では、最多の1位。プラスチック廃棄物も世界最大の排出国であるため、ゴミに関しても超大国と言える内容となっています。


〈アメリカのゴミ事情〉
排出量:世界のゴミ排出量の約12%
1人あたりの排出量:世界平均の約3倍
主なゴミの素材:紙・板紙、食品、芝生等庭ゴミ、プラスチック
処分方法:埋め立て、焼却、リサイクル


 

このような現状でありながら、リサイクル率は32%程度といわれているのが問題視されています。特に環境負荷が高いプラスチックのリサイクル率は9%程度…かなり低い数字に悩まされているのが課題となっているようです。その他の課題では、焼却による大気汚染、埋立地の枯渇、プラスチックの蓄積…世界のリーダー・アメリカ、がんばりましょうと思ってしまいます。

アメリカのゴミは行政ではなく、民間の仕事

これは意外に感じてしまうものですが、アメリカではゴミの収集・処理は民間企業が行っています。有名なところで言えば、ウエイスト・マネジメント(Waste Management, Inc.)。北米で事業を展開する廃棄物管理サービス会社。アメリカが舞台のドラマや映画で観たことがありませんか? 自宅(戸建て)の前に大きなバケツを出しに行くシーンを。あのように普通ゴミ(可燃・不燃の区別は特にない、、! )は大きなゴミバケツに入れて出すようです。ちなみにサイズは、大人が入れるほど! 生ゴミは、キッチンシンクにディスポーザー(生ゴミ粉砕機)が設置されており、下水として処理されるのが一般的なようです。ペットボトルや缶はリサイクルのため、専用のコンテナへ。日本は、家庭ゴミの大部分は焼却、アメリカは埋め立てが一般的。そのため、特に可燃と不燃の区別はしていないのが特徴です。

民間最大手がリサイクルサービスも提供!?

先述した通り、行政ではなく民間が主となってゴミの収集・処理を行っているアメリカ。最大手の「ウエイスト・マネジメント」では、ゴミ埋立地から再生エネルギーをつくり出す仕組みを整え、再生エネルギープロバイダーとしてサービスを展開しているようです。ゴミ処理としては埋め立てが基本のアメリカのため、埋め立てられたゴミの山にまずはパイプを埋め込むようです。そして、パイプを通じてゴミが腐敗して出たガスを取り出し、それを電力に変換。その電力を各世帯へ電力供給する再生エネルギープロバイダーでもあります。その他、グループ企業や出資先を通じて、都市ゴミを再生可能なジェット燃料に転換する施設も展開。ユナイテッド航空が環境に優しい航空バイオ燃料として使用しています。多民族国家であり、州によってもいろいろなルールがあるためになかなかゴミ問題がまとまらないアメリカですが、ビジネスと工夫を駆使してリサイクルや循環サイクルを回そうとしている取り組みは、参考にしていきたいですね。