かの有名な“スモーキーマウンテン”で知られるフィリピンのゴミ問題は、やはりと言いますか、すんなりスムーズに現代的な仕組みやスタイルへ移行していないようです。さまざまな問題があるなかで、世界的にも有名なスモーキーマウンテンはフィリピンのゴミ問題の大きな問題です。それぞれの国の持つ事情や背景、特性を知り、地球全体でゴミ問題へしっかりと向き合わないといけません。そのためにも大切なことは、知ること。
スモーキーマウンテンとは、何か?
フィリピン・マニラ市北方に“かつて”存在した巨大なゴミ山とその周辺のスラム街のこと。そうなんです、かつてなので今は閉鎖されています。名称の由来は、捨てられたゴミが自然発火して火が絶えないことからだそうです。
一説には、1990年台前半には29haの広さで2万1,000人以上の人々がゴミを拾いながら生計を立てていた街と言われていました。それだけの広さであるにも関わらず、フィリピンの地図には掲載されていないというのが驚きです。また、捨てられたゴミの中からリサイクル可能なものを換金することで生活費を得ている人々もいました。
彼らは、ハイエナなどの腐肉を食べる動物を意味する「スキャベンジャー(scavenger)」という差別的な呼び名が使われていたそうです。ちなみに、スモーキーマウンテンという名称ではありますが、元々は漁村。1954年にゴミの投棄場所となり、それ以来マニラ市内の多くのゴミが運ばれるように。
スモーキーマウンテンの現在は?
1995年11月27日にスモーキーマウンテンはフィリピン政府により強制撤去。フィリピン=スモーキーマウンテンと世界に認識されていることを国家の恥だと認識し、政府は閉鎖を命じました。退去をめぐり住民との闘争が何度も繰り返されたそうですが、再開発を積極的に進め、1994年からゴミの廃棄禁止。退去した住民たちの大半は「第2のスモーキーマウンテン」と呼ばれる場所で以前と変わらない生活をしているそうです。
2000年1月時点では、住民の約6割がスモーキーマウンテンの向かいにできた新たなゴミ山で生活する状況が続いていました。ケソン市北方にあり「スモーキーバレー(煙の谷)」と呼ばれています。そのスモーキーバレーも現在は封鎖され、新たなゴミ山のある街へも交通運賃が払えず、生きていけないという現実があります。生活が安定しないために犯罪率が上昇し、スラム化が激しくなっています。
住人の強制退去後は、公共住宅があてがわれ改善した面もあるかもしれませんが、根本的な貧困問題は解決されていないのが現状です。
フィリピンのゴミ問題はどんな解決策があるのか?
前提条件として、国民の意識改革は必要だと言われています。発展・開発途上国では、環境問題への国民の関心は低く、環境の保全を訴えるのは、異臭を放つゴミ山周辺の住民だけ…そのため、国民の意識や関心が環境に向くだけで、ゴミ問題は大きく改善されると予想されています。まずは、ゴミの分別と削減。ゴミ箱もないスラム街では、当然、分別が行われていません。
それ以上に大人も子どもも関係なく道にポイ捨てする始末。ルールに従い、ゴミを所定の場所へ捨てる習慣を根付かせることが大切なのです。「何を当たり前のことを…」と離れた日本で感じるかもしれませんが、それほどに仕組みや習慣がゴミ問題には関わっています。国民の意識に加えて、ゴミ焼却施設やリサイクルセンターの建設も不可欠。
しかし、資金面や技術力が不足しているのも事実、フィリピンの環境問題の解決には、日本を含む先進国からの資金と技術援助が必要と言えるでしょう。