世界のゴミシリーズ「中国」

2025.11.07

シリーズでお届けしている世界のゴミシリーズ、今回は中国。どんな国で、どんな状況で、どんなゴミ事情を抱えているのか…容易にイメージできないですよね。さて、実際のところはどうなのか!? 他者から学び、取り入れられるものは取り入れ、活かしていきたいものですね。やはり、ここでも大切なことは、「知る」こと。

広い・格差・人口・革新…ゴミ問題も大変そう

中国のゴミ問題と聞いて、いかがでしょうか? 多くの方が「大変そう…」とイメージできると思います。それはなぜか? やはり、人口の多さや格差の激しさ、国土の広さ、経済の成長スピードなど、「そこまで手が回っていないのだろう」や「一旦、放ったらかしにしているのかな」と想像するのが容易いからですね。どうしても、都市部では廃棄物回収・処理インフラが比較的整備されているようですが、農村部では未処理・ゴミの放置・野焼きなどが常態化しています。とは言え、可燃ゴミを燃やす焼却施設を多数建設してきたのも事実。処理の問題よりも、収集や回収、分別マナーなどの方が問題・課題となっているようです。廃棄物リサイクルシステムの整備を加速するガイドラインも制定し、2025年・2030年に向けた目標設定も設定されているので、この先の中国には期待したいところです。

インフラ整備は急速に進んでいるが、リサイクル率は低いまま

食品廃棄物が大量に発生しているにもかかわらず、そこから堆肥化やバイオエネルギーに変える技術の普及が遅れているのが現在の中国。そのため、全国統一の分別ルールの確立とゴミ教育の普及が欠かせず、再生資源のマーケット(中古・再利用品市場)の発展が必須と言えます。また、プラスチック削減・代替素材の研究と導入促進も進めていると言われています。先述したように分別の意識が低く、地域差が大きいのも大きな理由となります。加えて、“出口”が育っていないのも原因です。というのは、再生プラスチックや古紙などの「リサイクル素材」は新品素材よりも品質が劣り、需要が限られているのです。価格変動が激しく、リサイクル業者の利益が出にくいことから、民間業者が撤退してしまうことも少なくないようです。

中国独自のゴミ問題と言えば、コレ!

数年前に話題となった「廃プラ問題」。中国はかつて世界最大のプラスチックゴミの輸入国でしたが、環境汚染の深刻化を受け、2018年に「輸入禁止政策」を導入しています。以降、中国国内の廃プラスチック処理・再利用の仕組みが大きく変化。それまで廃プラは、中国の沿岸部(広東・浙江・山東など)のリサイクル業者で分別・再加工され、再生プラスチックとして輸出または再利用されていました。当然ながら、不法輸入・違法処理・土壌/水質/大気汚染・健康被害などが深刻化し、社会問題化…それに伴って「海外からの廃プラスチック・紙・金属くずなどの輸入を禁止」することに。それと共に、「白色汚染」という問題も。農村・内陸部で起こるもので、ビニール袋・発泡スチロール・農業用ビニールなどが放置され、景観・土壌・河川汚染を引き起こした上、分解されずに残るため「白色」汚染と呼ばれているのです。これだけ聞くと問題が山積みなのですが、中国の政策スピードの早さや技術革新の進歩は改善の良い兆しと言えるかもしれません。