捨てるしかないもの、捨てる・焼却するにもエネルギーを要するものって多々あります。その代表例が紙おむつと言われており、その改善に各社・各所が試行錯誤を繰り返していますが、ある企業が新たな試みをスタートさせたようです。“使い捨て”をまた使えるサイクルにできたら? に挑戦している取り組みをご紹介します。
紙おむつから紙おむつへの「水平リサイクル」
皆さん、「水平リサイクル」という言葉に馴染みはございますか? これまでの“使い捨て”から、“使う→集める→生まれ変わる”のサイクルへと推進する技術革新を含めて取り組みです。主に紙容器や紙製品(紙おむつ含む)を展開する各社が試みている取り組みで、使用済みの製品を原料として、同じ製品に再利用することを指します。これによって新品を製造するための資源消費やCO2排出を抑えられるメリットが生まれます。もともとの形を変えずにそのままリサイクルすることから、水平リサイクルということですね。これまでは紙容器の特性により、一度使ったら汚れや臭いが付着するために再利用は難しいと考えられていましたが、フィルムの開発と工程を調整することで剥がしやすく・剥がすだけで再利用に移行しやすい仕組みを確立させています。
使い捨てなのに、使い捨てない未来のために
使い捨て商品は、その特性がゆえに常に衛生的な利用が可能ですが、製品そのものが使い終えると廃棄物となってしまうため、環境的ではないデメリットも存在していました。消費が増えてしまうと資源の大量消費や処分工数が増えることが大きなネックに。「使い捨てなので仕方がない…」と諦めることなく、紙おむつの分野でも水平リサイクルに取り組んだのが、衛生用品メーカーのユニ・チャーム。リサイクル・フォー・ザ・フューチャー(Recycle for the Future)の頭文字を採用したRefF(リーフ)というプロジェクトをスタートさせています。衛生的で快適、それでいていつもと同じ使い心地の商品を提供するための取り組みで、限られた資源を繰り返し使える資源問題の解決の一翼を担うもの。使い捨ての衛生的なメリットはそのままに、資源・環境問題をクリアする画期的な一手になっています。
仕組みは、オゾン処理でパルプを再生する技術が肝
紙パンツ・紙おむつ再生に必要な技術に欠かせないのは、オゾン処理。回収した使用製品を殺菌することが大前提となります。ユニ・チャームによれば、「使用済み紙おむつは洗浄後も大腸菌などの細菌がついています。ここで活躍するのが、オゾンの強い酸化作用です。オゾン処理をしたあとのパルプは、細菌がほぼゼロ。衛生的なパルプに生まれ変わります」とのこと。そして、オゾンは漂白の役割も担います。「新しい紙おむつが真っ白なのは、未使用パルプの成分であるセルロースが白いからです。使用済み紙おむつには、し尿に含まれるタンパク質などの色素が残っていますが、オゾンの強い酸化作用で色素のもとが消え、白さを取り戻します」。殺菌・漂白に加えて、オゾンは脱臭も叶えてくれます。これらの働きにより、未使用パルプと同様の品質を取り戻すことになるんです。加えて、使用したオゾンは時間経過によって酸素へと戻るとのことなので、使用への影響も皆無…こんなに効率的で健康面でも不安のない仕組みを取り入れた「RefF」の商品に注目してみてください!