革と人類との関係は、旧石器時代まで遡ると言われています。およそ200万年前から現在でも“現役”である「革」に今回はフォーカスしていきます。衣食住のどれとも関係が深い素材であり、丈夫さは折り紙付き。一部は高級品として重宝されている革製品のことや革の起源なども探っていきます。
人類最古のリサイクル品とも言われる「革」
古くは狩猟の際に獣肉以外の部分を防寒具や狩猟道具として活用したことからはじまっています。動物の皮を衣服や仕事道具の材料として利用し始め、体温調節をサポートや野生動物から身を守るのに役立てていました。長い歴史が物語る通り、耐久性・汎用性の高さから、革は人類の文化や生活に欠かせない存在と言っても過言ではありません。これまでの歴史を見返してみても、多くの文化で皮革製品は儀式や祝祭に使用され、服飾や装飾品としても広く愛用されてきました。また、古代エジプトでは革製の巻物を書き物の道具、アメリカの西部開拓時代にはお馴染みの革製品がカウボーイたちに愛用されていました。近代では皮革製品が高級品となっているものもあるなど、歴史は長い上に廃れることもない素材は、他にないのではないでしょうか。
皮から革となる、加工技術の進歩
動物の皮はそのままでは硬く、腐ってしまいます。変化しやすい「皮」を、長持ちする「革」に生まれ変わらせる技術は、人類の歴史とも言えるほどです。動物から得られるため、しなやかでいて肌触りも良く、温かみを感じられ、適度な弾力性も備わっている素材である皮革。動物のままなら皮であるが、そこから加工技術を用いて革となります。手入れ次第では何十年も使用可能な丈夫さも皮革製品の特徴でしょう。衣服・鞄・家具・楽器などさまざまな場面で活用してきています。加工技術は多岐にわたり、乾かす・揉む/叩く・油なめし(※1)・燻煙なめし(※2)・タンニンなめし(※3)など、さまざまな技術が開発され、皮革製品は発展してきました。
※1:魚や動物の油脂を塗る最古のなめし
※2:囲炉裏の近くにかけて腐敗を防ぐなめし
※3:倒木のそばで死んだ獣の皮や染色のために草木の汁に漬けた皮が腐らないことから発見されたなめし
現在の主流は、金属を原料とした「クロムなめし」。作業時間が短く、経済性に優れるため、革の量産が可能に。施された革は柔らかく、保存性・耐熱性・染色性が良いため、靴や鞄類、衣服など、幅広く用いられています。
現在の皮革産業の在り方
昨今の「革」の印象は、定番でありながら根強い人気を誇る素材・アイテムと言えるでしょう。ファッション業界ではレザージャケット、鞄、靴などオーセンティックな佇まいと経年変化を楽しめるアイテム、丈夫な特徴も相まって高価格帯でありながら同時に高品質を謳うアイテムとして定期的にリリースされています。一方で毛皮などは動物保護団体とのやり取りが報じられることもあり、年々リリースするブランドが減少している印象ですね。環境問題の観点からも注目されている皮革製品。環境負荷を考慮したサスティナブルなものづくりが皮革産業には求められています。環境に配慮した加工を施すことで、食用として必ず発生する皮の廃棄を避け、廃棄に伴うCO2を抑えることにもつながるメリットがあります。一概に「動物保護の観点からよろしくない」とするのではなく、広い視野で捉えることも大切になってくるかもしれません。