あなたは「夢の島」を知っていますか?

2025.05.16

「夢の島」。言葉・文字だけを見るとドリームアイランドとなり、どこかのテーマパークや南の島などを想起させますが、ここ日本の場所のことで埋立地のことを指します。ゴミに歴史あり、といったお話ですのでどんな変遷を辿って現在のクリーンな日本へと変化を遂げたのかを知っていただければ幸いです。

夢の島は名称なのか別称なのか!?

上の問いに対する答えは、「夢の島」は東京湾を埋め立ててつくられた人工島であり、江東区の町名。当時の正式名称は「東京湾埋立14号地」とされていました。現在では、緑あふれる公園になっており、当時の面影を感じさせる部分は皆無です。では、いつ頃までの話なのかと言うと、1957年からゴミの埋立処分場として使われ、高度経済成長期(1957年〜1973年頃)にゴミの処分場として大きな社会問題となってしまい、ハエや悪臭などの被害が深刻だったそうです。ピーク時の1967年頃にはゴミ山の高さは16mに達し、悪臭と火災の懸念から大きな社会問題に。

夢の島とゴミの関係
期間:昭和32年(1957年)から昭和41年に埋立てが終了
特徴:生ごみなどを燃やさずにそのまま埋め立てていた
問題:ハエや悪臭、火災の懸念などによる大きな社会問題となった

夢の島改めハエの天国と揶揄されたことも

当時は清掃工場の建設が追い付かず、ゴミを焼却せずにそのまま埋め立てていたこともあり、生ゴミなどが発酵分解を続ける不安定な土地となっていました。そのために島内では、たびたび発生したガスにより自然発火が起こることも。当然ながら、埋め立てられた大量のゴミの影響で悪臭や害虫が発生し、周辺住民にとっては苦難の状態となっていたそうです。そんな状況がつづき、あることをきっかけに全国的に知られることとなります。それがハエの大量発生。昭和40年7月16日、夢の島で発生したハエが強い南風に乗り、周辺地域を襲うという事件となりました。現在では、生ゴミは清掃工場で焼却処分されるおかげで害虫や腐敗によるガス発生などは最小限に抑えられています。

ハエの天国と呼ばれたのは、なぜ?
原因:清掃工場の建設が追いついていなかったため、中間処理施設不足が招いた結果

日本では過去の話。では、世界では?

夢の島は日本・東京で起こったことですが、それから半世紀経った現在では、その面影は微塵も感じさせません。ゴミ処理技術などの向上の影響でいまや夢の島は美しい緑地公園へと生まれ変わっています。では、世界では同じようなことは起こっていないのか? と言うと、やはり起こっており、各地で課題や問題を抱えています。そのひとつであるインドネシア。夢の島の2.5倍の高さがあるゴミの山は、インドネシアの首都ジャカルタにあるようです。その高さ、40m! バンタル・グバンと呼ばれる東南アジア最大の廃棄物処分場。ここでは毎日約8000tが運び込まれています。その量は、東京23区全体から出る一般廃棄物とほぼ同量だとか。恐ろしい…。また、約3,000人の「ウェイスト・ピッカー」たちが、ゴミ山の斜面に掘立小屋を建てて暮らしています。このインドネシアの件は、別記事でしっかりとご紹介できればと思います。ゴミにも歴史あり。先進国が教訓的に後進国へ伝えて協力することがスムーズに行われる世の中であって欲しいと願います。