名大発のスタートアップが「燃やさない焼却場」を

2025.09.19

名古屋大学発のスタートアップ「株式会社クロスイー」による、燃やさずに炭化させるプラントの開発をご紹介していきます。生ゴミを燃やすことなく炭化させる取り組み…これによりコストの圧縮や温暖化ガスの排出を防ぐことが可能に。そんな取り組みを見つけたのでご紹介していきます!

東海地方のエリートによる新しい試み

「名古屋大学発ベンチャー企業」の称号を授与された株式会社クロスイー。名古屋大学に関係しているからといって「名古屋大学発ベンチャー企業」を名乗れるわけではないようです。名古屋大学が持つ先端的な研究成果と技術力を活用し、社会に貢献する企業として認定されたことを意味するとのこと。それだけに、「名古屋大学発ベンチャー企業制度」は、大学の知的財産を活かし、イノベーションを通じて持続可能な社会の実現を目指す企業に与えられています。そんなクロスイーが取り組んでいるのが、生ゴミを燃やさずに炭化させること。これにより、どうなるか? 二酸化炭素などの温暖化ガスを排出せず、焼却と比較しても3〜4割低くコストを圧縮できるそう。2026年度中の販売開始を目指しているそうなので、これからの動きに期待が高まります。

どうやって燃やさずに炭化させるのか?

それは、濃硫酸が有機物から水分を吸収する性質を活用するそうです。低温触媒プロセスにより、有機物を効率的に炭素化し、有害ガスを発生させることなく環境にやさしい処理を実現。180℃で加熱・撹拌することで燃やすことなく炭化へと導く。これらにより、廃棄系有機資源を高付加価値のカーボンに変換する革新的な炭化プラントを提供していく、というのが狙いのようです。「廃棄系有機資源の高付加価値化」を実現する炭化プラントが、彼らの生み出したもの。炭化されたそれぞれが、コンクリートの原料となったり、半導体製造に使用する黒鉛材となったりし、脱炭素の取り組みのひとつとして企業をサポートしていけると考えています。予想されるクライアントは、食品工場、野菜処理工場、菓子・飲料メーカー、産業廃棄物業者などを見越しているそうです。

メリットの多い“燃やさぬ炭化”

環境負荷を抑える炭化技術、低コスト、高効率などがメリットに数えられます。さらに、焼却炉の場合は設置許可が不可欠であるが、このプラントの場合は設置許可が不要。加えて、生成された炭素を土壌改良材やバイオマス燃料として再販するなど、新たなビジネスモデルの創出を叶えることもできます。ゴミは燃やすのが当たり前とする常識が、名古屋大学発の革新的な技術により変わるかもしれません。燃やすからコストがかかる・二酸化炭素が出る・有毒ガスが出る…ならば、燃やさずに炭化させる、ということなのですね。「言うは易く行うは難し」な課題に真っ向から勝負しているのがすばらしいです。自社の廃棄物を資源として捉え直せる取り組みなので、この先の未来においてはニュースタンダードとなり得る可能性を秘めています。