世界のゴミシリーズ「イタリア」

2025.09.05

シリーズでお届けしている世界のゴミシリーズ、今回はこのシリーズはじめての欧州の国。どんな国で、どんな状況で、どんなゴミ事情を抱えているのか…容易にイメージできないですよね。さて、実際のところはどうなのか!? 他者から学び、取り入れられるものは取り入れ、活かしていきたいものですね。やはり、ここでも大切なことは、「知る」こと。

イタリアのゴミにはマフィアが関わっている?

イタリアと聞くとイメージされるのは、ローマ帝国・一流ブランド・サッカー・美女・パスタ・ピザ・陽気な国民性などなど。なかには映画の影響からか、ギャングやマフィアを想起する方もいらっしゃるのではないでしょうか。今回は、最後に述べたギャングやマフィアが少し関わるお話。でも、れっきとしたゴミの問題ですし、反社会的なことを紹介するわけではありませんのであしからず。イタリア南部のナポリでのお話ですが、ここでのゴミビジネスには、マフィアが関係していない会社・業者がいないそうです(!)。つまり、ゴミ回収作業会社やゴミ処理施設でマフィアが関与していないものはない、ということ(驚きですね、、。日本では考えられません)。ゴミビジネスの利権に目をつけたマフィアたちは、組織網を隅々まで張り巡らせています。それにより、未回収問題が発生するなど、街が混乱となったケースも見受けられています。

「エコマフィア」という言葉は、ご存知?

関連するゴミ回収作業会社やゴミ処理施設、なかにはマフィア組織が直接運営しているものもあると言われています。そもそもマフィアは麻薬密売を主な収益源としていましたが、1980年代頃からゴミ関連ビジネスも関連を強め、麻薬密売に次ぐ収入源となっているそうです。そんななか競合他社を追いやり、安全基準すらも無視する「エコマフィア(※1)」なるものが存在感を強めていきます。彼らは、イタリア北部から船で搬送した産業廃棄物をナポリ周辺に不法投棄するなど、乱暴で粗暴な振る舞いや処分の仕方が問題となっています。放置されたゴミから有害ガスも発生する事態にも。このような違法ゴミビジネスにより、マフィアは年間25億ユーロ(約4000億円)にも上る収益を得ているとか。それだけではなく、11万t近くの未回収ゴミがナポリおよび近郊の路上に放置されている問題は、マフィアだけではなく、ゴミ埋め立て処分場が埋まり、ゴミ収集が不可能となっていることも原因のひとつとされているようです。

※1 エコマフィアとは「有害廃棄物や危険物質の違法売買をする国際犯罪組織」のこと

なぜマフィアはゴミビジネスをはじめるのか?

結論から申し上げると、すぐにでもはじめられる“儲かる合法ビジネス”と認識しているからなのでしょう。よく言われる話では、「トラック1台と屈強な男を2〜3人見つければいい」とされているため、スタートする障壁が高くないということ。また、合法というのがポイントになります。非合法であるドラッグや人身売買、ギャンブルなどではなく、ゴミ収集ビジネスはれっきとした合法な商売であり、需要も常に高い、この点が大きいとされています。しかし、どんな仕事も真面目に行わないと成立しないのが仕事というもの。ナポリの街の人々は迷惑をしていますし、治安や景観も崩れてきます。さらに放射性廃棄物などの危険物質の違法売買ビジネスを展開しするなど、環境にとっても良くありません。誰でもはじめられる仕事かもしれませんが、誰でもできる仕事なのではなく、大きな責任と信頼を獲得すべき仕事なのだと感じさせます。その点、日本の業者さんはすばらしいですよね。