なかなか二度見をさせる物言いではありませんか? 「鳥糞の化石でできた島」というのは。「そんな島あるの? 」「どれだけの量? どれだけの歳月がかかったの?」という疑問がオンパレードなタイトル。排泄物なだけではなく、堆肥や食物連鎖に欠かせない“糞”の奥深さや循環の妙についてもご紹介していきます。
鳥糞の化石でできた島は国なの!?
初見・初耳の方は、「ホントにそんな島・国があるのか? 」と半信半疑だと思います。ズバリ、そんな島・国が世界にはあるんです。その名前が、ナウル共和国。オセアニアの島国であり、太平洋南西部、赤道のすぐ南に位置し、パプアニューギニアの東側にある島国です。おおよそ東京都品川区と同等の面積(約21平方km=東京ドーム約450個分)の国土を持ち、バチカン市国、モナコに次いで世界で3番目に面積の小さい国。小さいとは言っても東京ドーム約450個分や品川区と同等と聞くと、「それが全部、鳥糞でできているって!? 」とにわかには信じられませんよね。とは言え、糞がそのままというわけではなく、長い歳月によって化石化したものが一定量あるということのようです。でも、サンゴ礁の上に海鳥の糞が積み重なってできているのも事実です。インパクトがあるので「鳥糞の島」と呼ばれることが多いですが、正確には「サンゴ礁の島に鳥糞が堆積した箇所がある(それなりの容積)」ということですね。
ナウルは鳥糞だけの島・国ではない!
鳥糞、鳥糞と言いますが、果たしてなんの鳥なのか? それは、アホウドリのようです。1万人以上がそこで生活を営み、自給自足を主としたスタイルで発展途上国のそれでしたが、19世紀末にドイツの植民地に。そこからナウルの運命が動いていきます。その頃に現地でリン鉱石が発見されます…つまり、長い歳月をかけて鳥糞はリン鉱石に変わっていったということ。このアホウドリの化石化した糞はナウルに大きな恩恵をもたらします。採掘されたリンの用途は肥料、ナウルからは20世紀末まで外国にリン鉱石を輸出することで莫大な利益を得ました。糞の中のリン成分が濃縮されるためには降水量が多く、湿度が高い事が必要ですが、ナウルの気候はその条件を満たすためにリン鉱石が取れるようになったのです。これによりナウル共和国は突如としてお金持ち国家となったのです。何がどうなるかわからない…不思議な因果があるものですね。
皆さん、「リンって何!? 」 とは思いませんか? リンは細胞膜、骨成分、DNAなどに含まれる人間の体内の必須元素です。リン元素は体内で合成できないため、食べ物として取り入れなければなりません。また、植物も成長にはリンが欠かせません。野菜は土壌からリンを吸収し蓄積、その草を牛が食べることでリンが蓄積、その牛を人間が食べることでリンは人間の体内へ補給されます。植物は土壌からリンを吸収しますが、どこにでもあるわけではありません。肥料として与えられているわけですね。特にリン・窒素・カリウムを肥料の三要素と呼ぶほどですから。すごく大きな流れで言ってしまえば、肥料に含まれるリンの大部分はリン鉱石由来なわけですから、化石の鳥糞→肥料→植物→草食動物→人間となります。私たちが摂取しているリンももしかすれば、ナウル共和国のものなのかもしれませんね。
栄枯盛衰は世の習い、とはまさにこのこと
先述の通り、リンは人間の体内・食品・植物・肥料などなどあらゆるところに存在する必須元素なのですが、どこでもリン鉱石が採取できるわけではないんです。また、肥料として使うことにより、川や海などへ流れリンが分散されてしまいます。「でも、また食物連鎖なりで循環するのでは? 」と想像できそうですが、生物に吸収されたリンを回収することは困難と云われています。それはどういうことかと言うと、他の同等品のようにリサイクルが叶わないのがリンの特徴なのです。となれば、どうなるかと言うと、リンで栄えたナウル共和国の資源も枯渇するということ。ナウル共和国の歴史を紐解くと、リン鉱石の採掘で栄えた後、経済が困窮し、現在も資源の枯渇問題への対応が模索されているようです。リン鉱石以外の産業がほぼなかったため、リン鉱石を採り尽くした後は衰退…。さらに、島を削り取った結果であるため、海面上昇も合わせて島が海に沈んでしまうことも懸念されています。これ実は、ナウルだけの問題ではありません。リンの枯渇は肥料不足や食糧問題にもつながるために深刻な問題となっています。
現在は鳥糞の化石からではなく、古代動物の化石によるリン鉱床がアメリカなどで見つかり、大半はここから供給されているようなのですが、いずれそのリン鉱石も枯渇してしまう…。さぁ、人間の英知が試されている現在、どんな解決策を生み出すのか期待をしていましょう。
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